オスの肉だけを使用!サステイナブル(持続可能な)フードビジネスの事例紹介:女子大生、オランダ農業ビジネス留学⑤【オランダ農業とつながるインターン生】

皆さんこんにちは!オランダ農業ライターインターン生の佐藤です。

今日はデ・レッカレマン(De Lekkere Man)というオスの肉のみを使用するオランダ発サステイナブル(持続可能な)フードビジネスについてご紹介します^ ^

De Lekkere Manとは英語で The Tasty Man 。直訳して 「美味しい男」 という意味ですが、少しセクシーな響きがあるため、皆がクスッとしてしまうユーモア効いた社名です!

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さくっと概要を知りたい方はこちらへ

オス肉のみを使用するサステイナブルフードビジネスとは?

(www.delekkereman.nlより)

会社のロゴ下部に見られるように、オスの鶏肉、牛肉、ヤギ肉のみを使用した商品の生産、また、ケータリングサービスの会社です。

その他、イベント出店、フェスティバル出店、トークショー、ワークショプなども行なっています。

(De lekkere man Instagramより)

日本でもジビエ料理として、増えすぎた鳥獣の駆除後それを無駄にせず食べる動きが広がっていますが、

De Lekkere Manのコンセプトは、畜産業において交尾以外に『必要とされないオスたち』を価値付けて救う(食べる)ことにあります。

(World Food Day 2018にて筆者撮影)

オスの肉も美味しいのだから、食べて、価値を与え、オスにより良い生活や人生を与えよう!

以下、同社のホームページからの引用です。

畜産業の中でも、肉 を生産する産業と 卵やミルクなど を生産する産業は、目的や構造が全く異なります。

例えば、肉の生産にはより肉付きの良い家畜、卵やミルクなどの生産にはまたそれに適した家畜へ特化し、発展させていきました。

それによって、食肉産業ではオスもメスも食されますが、それ以外の畜産業では『必要とされないオスたち』が誕生することになります。

メスと同じ数だけ生まれるオスの家畜の内、求める用途にあったオスがメスを妊娠させ、それ以外は食肉用に生産されていないため、ただお金はかかるが経済的な価値のない厄介者扱いをされています。

それゆえ、成熟する前の段階で農場を去ったり、オスの鶏の場合は生まれてすぐにガス殺されてしまいます。

オスの肉も美味しいのだから、食べて、価値を与え、オスにより良い生活や人生を与えましょう!

(De Lekkere Man ホームページ文を日本語訳)

このビジネスを始めたのは、下記の3人です。

(www.delekkereman.nlより)

Lizetteさん(左)は動物科学やデザインの世界のバックグランドがあり、昔はベジタリアンでありフェミニストでしたが、今はオスの肉は食べるベジタリアンであり、農場とお皿の上からのオスの解放を主張するフェミニストだそう。ユーモアがあって面白いですね^ ^


Anneさん(真ん中)は人類学、心理学、行動科学のバックグラウンドがあり、遊び心のある方法でこの複雑なフードシステムを知ってもらいたいとのこと。

Jornさん(右)は美味しさとサステイナブルな商品と良いストーリーの複合を探求するシェフ。

食糧生産とサステイナビリティ(持続可能性)への問題提起および啓蒙活動にも力をいれる

(World Food Day 2018にて筆者撮影)

こちらは去年10月に行われた世界食料デーフェスティバルでのDe Lekkere Manによる遊び心溢れた展示。

「雄鶏と卵」 というタイトルで、来場者がタマゴの殻に模したスティックでタマゴ型のボールを上から転がしていきます。


所々でボールが行き止まり、そこに書いてあるクイズやコメントに答えていきます。

卵を食べますか? 

卵を得るために雄鶏も生まれること、生後1日の雄鶏がフードチェーンで大きな問題となっていることを知っていますか?

などなど。

そして最後に、こう質問します。


私たちは雄鶏を成熟するまで育て、充分に育ったら屠殺するべきでしょうか?

① 決められない。

② はい、雄鶏を屠殺するまで長く生きさせてあげるべき。

③ いいえ、なぜなら雄鶏の肉を育てるためにはよりエサが必要になり、環境により大きな影響が出るから。(→では 孵化する前に処理するか否か?と質問が続きます。)


そして、②と③の孵化する前にでも処理すべきでないと答えた人には、最後の最後にもう1問出題されます。

卵産業の雄鶏は、食肉産業と比べ、成長が遅く生産される肉が少ない。それゆえその肉はより高価で環境へのインパクトがある。

私たちは卵産業にも食肉産業にも適した新しい品種が必要でしょうか?

(World Food Day 2018にて筆者撮影)

会場で最も多かった回答は、最後の最後の質問に、「はい」と答えた人(写真左)。

まとめ

いかがだったでしょうか。

既存の産業のあり方から考えられるサステイナブルな代替案も、様々な方向性や考え方があり、生産性とサステイナブルの共存にはまだまだ壁があるなぁと考えさせられた日でした。

皆さんは De Lekkere Man からのクイズにどう答えますか?

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