前回記事に引き続き、オランダの有機野菜・フルーツ専門の流通大手である「Eosta」社の訪問レポート記事です。
(前回記事:オランダの有機野菜・フルーツ流通大手の「Eosta」社を訪問しました!)
前回はEosta社の概要とマーケティング概念について書きましたが、今回は同社の具体的なマーケティング施策や様々なキャンペーンをご紹介します。
同社のキャンペーンはそのアイディアや規模に、ぼくもとても感銘を受けました!とても面白いキャンペーンを会社規模でやっていて、とてもワクワクしましたよー。
なにかの参考になれば幸いです。
それでは、早速いってみましょー♪
パッケージの工夫
まずは、Eosta社のマーケティング施策の1つである、パッケージについてご紹介します。
Eosta社では、2005年からすべてのパッケージをバイオプラスチックに変えているそうです。
バイオプラスチックとは、サトウキビやトウモロコシ由来の生物資源から作られたプラスチックで、約12週間で土に帰るそうです。【Eosta社サイトより】
担当者は、有機野菜やフルーツを好む消費者は、プラスチックやビニールのパッケージが嫌いなんだと教えてくれました。
※Eosta社のパッケージ例。ラベンダー(薄紫)色のパッケージはお店でもよく目につきますし、かわいいです!【Eosta社サイトより】
彼は、
「有機野菜やフルーツなどの持続可能(サステイナブル)な製品を好む消費者は、その製品がプラスチックやビニールなどの、持続”不可能な”製品にパッケージされることを望んでいない。」
と言っていました。
意識して見たことは正直ありませんが、そういえばそうだな!と納得できました。
有機野菜を買って、健康とともに持続的な農業を応援しているのに、容器がプラスチックやビニールだったら矛盾していますもんね。
また、同社のWebページによれば、同社はパッケージをバイオプラスチックに変えたことで、年間数千キロのプラスチック消費を抑えることができたそうです。【Eosta社サイトより】
※Eosta社のパッケージ例【Eosta社サイトより】
オーガニックマーケットやオーガニック専門のスーパーなどでは、野菜やフルーツは基本的にコンテナで売っていて、パッケージされていない物がほとんどです。ただ、たまにビニールやプラスチックでパッケージされた製品も見ます。
※ちょうど昨日オーガニック専門スーパーで購入したアボカド。このようにプラスチックで包装されていました。
日本のスーパーでも、野菜やフルーツ(有機栽培や慣行栽培でも)がビニールやプラスチックのパックに包まれいるのが主流だと思います。
パッケージも少しずつ地球にやさしい形になればいいですね!
nature & more
次に、ぼくが同社を知るキッカケにもなった、「nature & more」というキャンペーンを紹介します。
※Eosta社のロゴ【Eosta社サイトより】
このように本キャンペーンはEosta社を象徴するロゴにもなっています。
これを一言でいえば、有機野菜・フルーツの消費者に向けた、透明性の高いコミュニケーションツールです。
※nature & moreのラベルの例【Eosta社サイトより】
このように同社の製品には必ず、切手のような可愛いデザインで「生産者の写真」と「番号」が記載されてあります。
ここで生産差の顔が見れると同時に、この番号をnature & moreのWebページに入力すると生産者の情報がみれるというわけです。
以下のビデオはこのnature & moreの仕組みがとっても分かりやすいので、ぜひ見てみてください^^(言葉のないアニメーションなので、わかりやすですよ!)
このビデオnature & moreのシステムが分かりやすいし、そしてとてもポップでいいですね!
ビデオでも見れるように、このシステムによって消費者は「生産者や製品の情報」はもちろんのこと、生産者についての「紹介ビデオ」や「購入者のレビュー(書込み可)」までみれます!
※サステイナブルフラワー例【Eosta社サイトより】
さらにnature & moreの各生産者のページには、上記のようなサステイナブルフラワー(持続可能な花)と呼ばれるコンテンツがあります!
このサステイナブルフラワーは「energy(エネルギー)」「air(空気)」「water(水)」「soil(土壌)」「 plants(植物)」「 animals(動物)」の6つの花びらで構成されていて、各項目ごとに生産者が持続可能な農業に向けて、それぞれが工夫している点や現状について記載されています。
消費者が、持続可能な農業に重要な各項目についての生産者の情報を、細かく知ることができるのです!
ぼくはこの仕組がとても気に入りました!
日本でも、よく道の駅やスーパーの地産池消の野菜コーナーなどで、生産者の顔が見える仕組みはありますが、ここまで詳細に持続可能な農業についての生産者の取り組みを消費者に説明する仕組みは聞いたことなかったからです。
また説明してくれた担当者は、
「生産者によっては持続可能な農業に向けて改善が必要な生産者もいる。たとえば本当は環境に優しい電気で動く農機が欲しいけど、費用の面でまだ石油で動く農機を使っていたりする。でもそういった現状も含めて、将来の計画とともに、包み隠さず記入してもらっている。」
と言っていました。
そういった「誠実さ」も消費者にとっては安心につながるので、スバラシイですね!!
また、こういった消費者と生産者が繋がれる仕組みによって、消費者は生産者のファンになることができたり、生産者の成長がみれたり、持続可能な農業について学べたり、安心して製品を購入できたりと、様々なプラスの効果があります。
生産者にとっても、消費者に包み隠すさずに自身が実践していることのアピールになり、売上につながったり、また持続可能な農業によりコミットする機会になりますね!
Eosta社のnature & moreのマーケティングは消費者のニーズも捉えながら、同時に生産者にもメリットの多いとてもいい仕組みだと思います!
以上、Eosta社のマーケティング施策について一部を紹介しました。
いかがでしたでしょうか。
まだまだご紹介したい素晴らしいキャンペーンがあるので、次回の記事でご紹介したいと思います!
本日もお読み頂きありがとうございました。
それでは、オランダよりミズキでした^^