世界の有機農業(オーガニック)事情を知りたい!【有機農地の規模編】

こんにちは、オランダよりミズキ(@yMIZUKI8)です。

今回は世界の有機農地の規模をリサーチしました。

日本との比較も見てみます。

皆さんは世界の有機農地の規模がどの程度が知っていますか?

ぼくはオランダに来て、日本にいたときよりもオーガニックの野菜やフルーツが身近になりました。

またオランダで訪れたオーガニック専門企業に影響を受け、ますますオーガニックや持続可能な農業に興味がでてきました。

(オランダのオーガニック専門流通企業の訪問レポ:①会社概要マーケティングキャンペーン最新キャンペーン

なので、世界のオーガニック情報を色々と調べていきたいと思います。

それでは、世界の有機農地編いってみましょー♪

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世界の有機農地は増加し続けている!
★世界の有機農地の推移(1999-2014年)

まずは世界全体の有機農地の把握からしていきます!

世界の有機農地の規模の推移(1999-2014)by FiBL-World of Organic Agriculture.png
【 FiBL-World of Organic Agricultureより】

これは、1999~2014年の世界全体の有機農地の推移を表したグラフ(単位:100万ha)です。

1999年には1,100万haだった世界の有機農地が、2014年には4,370万haまで増加していることが分かります。

4,370万ha(ヘクタール)がやや想像しにくいと思いますが、日本の面積が約3,778万haなので、2014年の世界の有機農地の規模は日本の約1.15倍の面積です。(やや想像しやすいですか?)

また世界の有機農地は過去15年で右肩上がりの増加傾向にあることもわかりますね!

ただ、FiBL(世界的な有機農業研究機関)によれば、この2014年の有機農地の規模は世界全体の農地のたった0.99%にしかみたないそうです。

正直このグラフから、有機農地が増えている現状がみえた時はうれしかったですが、世界全体の農地の1%にも満たない規模なのですね。

有機農業は世界全体でみてもまだまだこれからなんだと実感しました。

オセアニアと欧州は有機農業が盛ん!?
★大陸ごとの有機農地の規模と割合(2014年)

次に大陸ごとの有機農地の割合と傾向をみていきましょー。

世界の有機農地規模の大陸比較(2014)と割合(作成グラフ)by FiBL-World of Organic Agriculture.png

【 FiBL-World of Organic Agricultureより作成】

これは2014年の大陸ごとの有機農地の規模(ha)、大陸における有機農地の割合、そして世界での有機農地の割合を記載した表です。

最も有機農地の規模が大きい大陸はオセアニア大陸で17,342,416haでした。

大陸内ので有機農地の割合も4.1%と最も多くなっていますね。オセアニア大陸が世界の有機農地の約4割をしめています!

ぼくはオセアニア大陸は有機農業のイメージがあまりなかったのですが、規模が大きいですね!!

次に大きいのが欧州で有機農地は11,625,001haでした。欧州内での有機農地の割合も2.4%と、オセアニアの次に有機農地の比率が高いです。

欧州は有機農業やオーガニックに対する文化が発達していることが、農地規模からもわかります。

有機農業はドイツやイギリスの学者や思想家から誕生したと言われていますし、さすがヨーロッパですね。

そして日本が含まれるアジアはというと、アフリカに次いで2番目に有機農地が少ない結果となりました。

大陸内での比率も0.3%と、数字だけみるとアジアは有機農業後進国ともいえると思います。少し残念です!

欧州とオセアニアは有機農業のプレゼンスが増加している
★大陸ごとの有機農地の推移(2006~2014年)

次に、2006~2014年の大陸ごとの有機農地の推移をみてみます。

ここから大陸ごとの有機農業に対する最近の傾向がみえればと思います。

大陸毎のオーガニック農地の変遷(2006ー2014年)編集by FiBL-World of Organic Agriculture.png
【 FiBL-World of Organic Agricultureより】※単位:100万ha

欧州は2006年より右肩上がりで有機農地が増加していることが分かります。

そして、オセアニアは2012~2014年に急激に有機農地が増加しています。なにがあったのでしょうか。

欧州とオセアニアはともにオーガニックのプレゼンスが増していることが分かりますね!

われらがアジアやアフリカ、そして北米などは、有機農地の規模の推移はほぼ横ばいとなっています。

オーストラリアとアルゼンチンは有機農地の規模がスゴイ!
★有機農地の規模トップ10の国(2014年)

次に国ごとに有機農地の規模をみてみます。

有機農地の規模トップ10の国(2014) 編集by FiBL-World of Organic Agriculture
【 FiBL-World of Organic Agricultureより】

これは2014年の有機農地の規模が大きい上位10ヶ国を表したグラフです。
(※オーストラリアは2013年、アメリカは2011年のデータ)

有機農地の規模でみるとオーストラリアが1,720万haで圧倒的に大きいです!

もちろんオーストラリアは国土も大きいので、全ての農地における有機農地の比率でみるとまた変わると思いますが、それでも他国と比べて圧倒的に有機農地の規模が大きです。

上述のオセアニアの有機農地の規模や比率を押し上げているのもオーストラリアだと推測できますね。

オーストラリアは大規模な慣行農業のイメージが先行していましたが、一定数で有機農業も行われているのですねー!

2位はアルゼンチンで310万haでした。

アルゼンチンは3位のアメリカ(220万ha)や4位の中国(190万ha)といった経済大国よりも規模が大きいところに注目ですね。

アルゼンチンの有機農業事情を詳しく調べてみたくなりました。

スペイン(170万ha)・イタリア(140万ha)・フランス(110万ha)・ドイツ(100万ha)の欧州勢もトップ10入りしています。

大陸のくくりでみると欧州勢は頑張っていますね!

ちなみ日本の有機農地の規模は?

農林水産省のデータによると、日本の有機農地は1万ha(2015年)でした!
※有機JASの農地

もちろん国土や農地の規模が違うので単純に比較はできませんが、世界の有機農地の規模に比べるととても小さいことがわかります。

ちなみに、オランダの有機農地の規模は約5万haでした。

日本はオランダの約2.4倍の農地があるのに、有機農地はオランダの5分の1しかないんです!(参考:オランダ農業の「農地」について詳しく調べてみた

ヨーロッパ各国は有機農地の割合が高い!
★全農地における有機農地の割合が10%以上の国(2014年)

次に世界各国の全農地における有機農地の割合(比率)が10%以上の国をみてみましょう。

その国に有機農地が10%以上あるということは、その国がいかに有機農業に力を入れているかがわかる数字です。

有機農地の割合が農地の10%以上の国(2014)編集by FiBL-World of Organic Agriculture.png
【 FiBL-World of Organic Agricultureより】

上位2位はあまり聞き慣れない国がはいりましたね。

フォークランド諸島(マルビナス)が有機農業の割合36.3%で世界1位、リヒテンシュタインが30.9%で2位でした!

フォークランド諸島は南大西洋上にあるイギリス領の諸島、リヒテンシュタインは西ヨーロッパの中央部にある国です。

フォークランド諸島は人口約3,000人の極小国で島国なので、昔ながらの有機農業が続けられているのでしょうか。

また、リヒテンシュタインは同じくグラフに含まているオーストリアやスイスに囲まれた国なので、同様に有機農業が盛んなのだと思います。

その他はやはりヨーロッパ勢が有機農地の割合が多いですね!

オーストリア、スウェーデン、エストニア、スイス、ラトビア、チェコ、イタリアと、有機農地の割合10%以上の国がヨーロッパには7国もありました。

ヨーロッパがいかに有機農業が普及しているかがここからも伺えます!

ちなみに、有機農地の規模でダントツ1位だったオーストリアの有機農地の割合は4.2%、2位のアルゼンチンは2.2%でした。

また、参考までにアメリカは0.6%、中国は0.4%、そしてオランダは2.5%でした。

ちなみ日本の有機農地の割合は?

農林水産省のデータによると、日本の有機農地の割合は0.22%(2015年)でした!
※有機JAS農地の割合

日本は有機農業がとても遅れていることが、有機農地割合からもみえますね。

農地が日本より小さいオランダと比較しても、オランダは有機農地割合が日本の10倍以上あります!

日本にもっともっと有機農地が増えて、消費者が手軽に有機野菜やフルーツが買えるようになるといいのですが。

消費者のオーガニックへの意識改革、有機生産者がリスクを抑えて有機農業をできる仕組み、有機生産者への優遇など、ぼくが今思いつくのはこれくらいですが、日本の有機農業が変わるためには色々と必要なんでしょうね。

まとめ

以上、有機農地の規模に焦点を当てて、世界の有機事情を調べてみました。

いかがでしたでしょうか?

感想やもっと調べて欲しいところなどあれば、コメントを頂けるとうれしいですー^^

ぼくはオーストラリアを始めとしたオセアニアの有機農地が世界で1番広いことに驚きました。

そして、ヨーロッパはやはり有機先進国なんだなと農地のデータから改めて実感できました。

また、日本が世界に比べてどの程度有機農地があるのかも比較できてよかったです。

日本は農地の規模でみても有機農業後進国なんだな(逆にいうと慣行農業の最先進国なのかな?)ということも再認識できました。

ではでは、長文ご覧いただきありがとうございました!

次回以降も違った視点で世界のオーガニック事情を調べていこうと思います。

オランダよりミズキ(@yMIZUKI8)でしたー^^

参考資料はこちら

今回の記事の主な参考文献はFiBL(世界的な有機農業研究機関)発行の「World of Organic Agriculture 2016」です。

本調査について調査対象国を簡単に説明をしておきますね。

本調査の対象国は下記の通りになっていて、世界各国の76%の国をカバーしています。

調査対象国 編集 by FiBL-World of Organic Agriculture.png

【 FiBL-World of Organic Agricultureより】

アフリカやオセアニアの小国は特にデータが存在しない場所もあったのでしょうか、カバー率がやや少なくなっていますね。

対象範囲をお伝えしておくのはこのような調査では特に重要なので記載しておきます。

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コメント

  1. 小さなイチゴ農家 より:

    こんにちは。
    日本では、有機JAS認証を取得しないと「有機栽培」等の表示をしてはいけない規則になっていますが、オランダでは、どうですか?
    有機JAS認証を取得するには、最低でも10万円以上かかるようで、毎年同じ金額を払って更新することになっています。多くの小さい農家は、有機農業をやっていてもそれを表示できないでいるようです。

    • ミズキ より:

      こんにちは。コメント頂きありがとうございます。
      オランダをはじめヨーロッパではEUの有機栽培認証を取得する必要があります。
      費用は調べると同様程度かかるみたいです。

  2. 紫陽花 より:

    イギリス在住です。オーガニックのものの認知度や手に入れやすさは日本と比べるとはるかに高いと感じています。今1歳の息子がいるのと、妊娠しており普段にも増してオーガニックにこだわろうと努力していて、来月の一時帰国が少し心配です。前置きが長くなりましたが、日本の有機栽培JAS規格と、EUのオーガニック認定の規定の差はあるのでしょうか。(日本では欧州で禁止されている農薬などが頻繁に使われている、といった記事も出回っているので)宜しくお願いします。